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眠りのお話

nemurinoohanashi

子どもの睡眠の質について考えてみましょう。

新型コロナウイルスの影響による外出自粛期間が長引き、子どもたちの生活習慣に大きな変化が起きました。良い睡眠が取れているか心配になります。

最近の授業では、タブレット端末を利用することもあり、スマホを持つ小学生も増えています。また、夜更かしの子どもたちも増えているように思えます。

今回は子どもたちの睡眠について、生理的かつ環境的な視点から考えてみましょう。
子どもの睡眠

子どもは、生まれて7週目ぐらいから睡眠のリズムができ、1~2歳で「夜になると寝る」というリズムができてきます。まだ昼寝もしますが、4歳の子どもでは7割、5歳で8割、6歳になるとほぼ昼寝をしなくなります。このようにして、大人とほぼ同じ覚醒と睡眠のサイクルが、徐々にできあがってきます(*1)。

このサイクルをコントロールしているのが、脳の視床下部(視交叉上核)で、いつ寝たら良いのかという指令を出しています。小さな子どもが、お昼寝をするのは脳からの指令であり、「睡眠不足を満たす」目的ではありません(*1)。
しかし、夜更かししていると昼寝を「睡眠不足を補うもの」だと考えてしまいがちです。実際に昼寝をすると夜更かしが出来てしまうということになるのです。裏返せば、昼寝をしなければ本来のリズムに戻り、夜には疲れて眠くなるということになります。

生活環境はどうでしょうか・・・ポイントは「夜の明かり」です。
子どもも大人も、夜になるとメラトニンというホルモンが多く分泌されて睡眠を安定させてくれます。メラトニンは強い光、特に波長の短い(周波数の高い)青や緑の光に大きく影響を受け、波長の長い(周波数の低い)赤い光にはあまり影響を受けないことが明らかにされています。現代の生活様式は昔と変わり、夜でも昼間と同じような蛍光灯の青白く強い光を浴びることが多くなっていて、メラトニンの分泌には決して良い環境とは言えません。
例えば、夜に子どもと一緒に、コンビニなどに行くのは控えたほうが良いでしょう。

では、子どもの睡眠の質を少しでも良くするためには、どうしたら良いでしょうか。
簡単にできるポイントは、自宅の照明が、「調光」や「調色」ができるタイプのものであれば、夕食が終わったら徐々に光の明るさを落としていくことです。
色味は電球色と呼ばれるオレンジ色の明かりにするとさらに良いと言えます。
就寝に向けて明るさを落とし、オレンジ色の光にすることで眠気を促していくことができます。

昔から寝る子は育つといわれています。
少しでも子どもたちの睡眠を知り、良い眠りが取れる環境を用意してみませんか。

子どもの睡眠のための照明

夕食後、照明の明るさを落としましょう。色味は電球色と呼ばれる"オレンジ"にするとさらに効果的です。

*1 応用講座 睡眠改善学 ゆまに書房


文=「眠りのお話」編集部